土地を持っていても
地主というと「土地をたくさん持っていて、お金持ち」などと言われることがあります。
私も「土地を持っている」と言うと、散々「お金持ちなんだねー」「土地代だけで生活できるじゃない」などと言われていたことがありました。
「そんなことないです、すごく大変です」と答えるのですが、ぜんぜんその大変さを解ってもらえず・・・「地主=お金持ち」というイメージは抜けないみたいですよね。
もちろん、世の中には「土地持ち」というだけバンバンお金が入ってくる様な土地もあるのでしょう。
でも、我が家の土地はそうではありませんでした。
その証拠に、私だって先代の両親だって、きっちり働いていました。
働かなくちゃやっていけなかったんです、つまり。
借地権って辛い・・・
うちの土地の一番の問題は、私が管理していた土地に他の人の家が建っていたということ。
つまり、土地と言っても底地だったのです。
完全に自分の土地であればまだ管理が楽だったし、やりようもあったのかもしれませんが、底地だと自分の思いだけで土地をどうにかすることができないので、そこが大変でした。
借地権を持っている人は、先代の両親とはまあまあ付き合いがあった様ですが、私の代になってからはほとんど付き合いもなく、顔を知っている程度。
しかも、向こうもずっとそこに住んでいる人なので、もう「自分の土地よ」みたいな感覚です。
うちが貸している土地代は、評価額からすると割安だったのですが、それでも「借りてやっているんだ」みたいな空気を感じることも多く、辛かったです。
別に感謝しろとは言わないけれど、もうちょっと言い様があるんじゃないのかなと。
それでも、相手が借地権を持っている以上「土地代を上げます」とは言えないし、簡単に立ち退けとも言えない立場でした。
ちょっと言ったら、争いになることがわかっていたからです。
結局、こちらが我慢することになってしまい・・・それが、私にとってはすごく大きなストレスだったのです。
正直、底地にした先祖を恨みたいと思ったことも。
ひとつの土地に複数の権利があるというのは、本当に怖いです・・・。
土地を持っているからといって、別にお金があるわけではないし、むしろ面倒が増えて大変になることも少なくありません。
私は、土地を持っていて良かったと思えたことはあまりなかったかな。
世の中には、私みたいに土地に関して色々な悩みを持っている人が少なくないと思います。
土地持ちには、それなりに悩みもあるのです。