土地を売ってはいけない
両親が亡くなり、土地を相続した日から、私はずっと土地のことで悩んできました。
私は、両親からずっと「先祖から受け継いだ土地を守ってくれ」といい聞かされて育ちました。
私は一人娘でしたので、小さい頃は「婿をとって土地を守る様に」とまで言われたのです。
だから、私も小さな時から「土地は大切なもの、何があっても売ってはいけない」と思っていました。
しかし、土地を守っていくというのは、身も心も擦り減るものでした。
私が持っている土地は底地なので、人に貸している土地です。
でも、先祖の代から土地代は変わらないので、同じ金額しかもらうことができません。
ここでぶっちゃけさせてもらうと、固定資産税よりずっと低い土地代だったのです。
それでも、土地代を貰える土地に関してはまだ良かったのですが、人に貸すことができない土地に関しては、固定資産税を全額自分たちで支払わなければならないことに。
毎年、そのお金をためるのが、私にとってはとても辛いことでした。
両親から多少の遺産相続はありましたが、それも固定資産税だけでなくなってしまうのでは?と思うほど、たくさんのお金が飛んでいってしまいます。
それでも、私たちの代は何とかなるかもしれませんが、この負担を私たちの子供の代に・・・というのは、考えるのも嫌でした。
都会の引く手あまたな土地ならともかく、うちみたいな田舎の土地は、子供に渡したからって財産にはならないでしょう・・・。
私の時は、両親がわずかながらお金を遺してくれたけど、今は不景気で私たちのお給料も決していいとは言えません。
子供たちに、土地を維持していくことができる様なお金を遺すことができるとは思えません。
土地を処分することが最善だった
そう考えると、やはり「土地を処分する」という方法が私たちには一番いいのかなと言う気持ちになったのです。
土地を処分すれば、わずかですがお金も入りますし(これも税金がとても高いけれど)、それを子供たちに遺してやることができれば・・・と思います。
正直言って、両親から託された土地を処分してしまったことは、今でも少し後悔があります。
両親も祖父母も、この土地を守るために必死に生きてきたのを知っていましたから。
土地には、私の家の歴史がすべて詰まっているとも思います。
だからこそ、最後まで売るかどうかは迷いました。
それでも、土地を売った今、「ほっとした」と言う気持ちがあることも事実なのです。
「もう土地のことを考えなくていい」・・・そう思うだけで、夜もゆっくり眠ることができるのです。
そのことを思うと、両親も許してくれるかな?という気持ちもあります。
本当に、辛かったから・・・きっと、これでよかったのだと思います。